強制執行(損害賠償金差し押さえ)まで受けた浅井敗訴の裏事情
顧問弁護士による呆れた弁護過誤の数々
これが一般世間なら弁護士懲戒を受ける事案
最近の本紙報道で、顕正会・浅井昭衛が強制執行を受けた件などを読んで、なぜ顕正会はこんな醜態を晒したのか、首をひねる向きもあろう。
もちろん根本的には、顕正会が謗法団体であるが故の果報に違いないが、その経過を見ていくと、顕正会法務部と称する二名の弁護士の弁護過誤(弁護方針の誤り)に起因しているのではないか、と思わずにはいられない。
以下、裁判に関心のある読者各位のために、その理由をなるべくわかりやすく、説明しよう。
真実相当性の主張を放棄
まず、浅井昭衛を敗訴に追い込んだ最大の弁護過誤は(どのみち浅井の敗訴は間違いなかったが、それをより確定的にした弁護方針の誤りは)、一審の始まりから「真実相当性」の主張を放棄してしまったことである。
ここで、裁判における「真実性」と「真実相当性」について説明しておこう。
例えば、今回のような名誉毀損訴訟において、名誉を毀損したとして訴えられても、その発言なり執筆した内容が真実であることが立証できれば(その前提として、その内容に公共性・公益性がなくてはならないが)、違法であるとの責めを免れられる。これを「真実性の立証」という。
また、その発言や執筆の内容がたとえ真実でなくても、真実と思い込んだのはやむを得なかった、という相当な事情があれば、違法性を免れられる。これを「真実相当性の立証」という。
そして、真実相当性を主張しようとすれば、その発言や執筆をなした本人が、どのような事情で真実と思ったのか、裁判所の証言台に立って証言するのが普通である。
浅井昭衛が六十七世日顯上人と妙観講・大草講頭を「盗聴犯」呼ばわりして訴えられた裁判について言えば、浅井発言を裏付ける真実性の立証は、まずもって不可能であった。何故ならば、すでに過去七回にわたる(創価学会関係者との)裁判の全てにおいて、日顯上人と大草講頭が盗聴に関与したなどという事実は否定されているからである。
となれば、顕正会の弁護士がすべきことは、真実性の主張に加えて、真実相当性の立証を試みることであった。
ところが、その裁判の一審において、顕正会の弁護士は、真実性の主張のみでよい、真実相当性の主張は一切しない、と言い切ったのである。これでは、浅井が敗訴する可能性を、自ら確実にしてしまったようなものである。
何故、こんな馬鹿げた方針を取ったのか、それは、仏のような浅井センセーの発言内容は全て真実だから、敗訴することなどありえない、との盲信のなせるワザか、はたまた、最初から浅井の敗訴は覚悟して、せめて浅井を証言台に立たせることだけは避けたい、と願ったためか、そのいずれかだと思われる。
どちらにしても、真実相当性の放棄が敗訴に繋がったのだから、これは重大な弁護過誤である(仮に浅井が自身の敗訴を覚悟したうえで、自身が法廷に立たされることだけは免れたい、と強く願ったのならともかく、これが弁護士の主導した方針であるとしたら、弁護過誤と言わざるを得ない)。
執行停止手続きを怠る
一審判決では、予想通り、顕正会・浅井昭衛の違法性が認定され、妙観講への損害賠償をするよう、仮執行宣言付きの判決が言い渡された(仮執行というのは、まだ三審のうちの第一審なので、賠償金の金額も確定ではなく、あくまでも仮に支払うが故である)。
このような判決を受けて、不服がある場合は、裁判所に賠償金相当額を供託して、執行停止の手続きを取り、控訴して二審で争うことになる。
過去に、この手続きを怠って、依頼者に強制執行を受けさせてしまい、懲戒処分を受けた弁護士もいるくらいだから、顕正会の弁護士も、依頼者たる顕正会・浅井昭衛にこれを説明し、執行停止の手続きを取るべきであった。
それを怠り、浅井に強制執行を受けさせてしまった、ということは、弁護士としての重大な職務怠慢である(おそらく彼らは浅井に、執行停止の手続きができる、ということすら伝えていなかったのではないか、と思われる)。
何故、こんな無様なことになったのか、それは強制執行の当日、弁護士の藤村が「おや、今日は何をしに来たんですかぁ?」などとおちゃらけて、強制執行を受けていることも分からなかったことからして、強制執行される可能性すら考えていなかったため(経験不足か勉強不足かは知らないが、要するに無能だったということ)である。
そのくせ、控訴審において「強制執行するなんて嫌がらせだ」とか「強制執行するなら事前に言ってほしかった」などと、自らの弁護過誤を棚に上げて泣き言を並べたのは、情けないかぎりであった(適法に行なわれた司法による執行を嫌がらせだと言うのも、弁護士にあるまじき発言だし、事前に通知しての強制執行などありえないことからしても、彼らの弁護士としての資質が疑われる)。
控訴審でのチグハグな対応
控訴審において、顕正会側は突然、浅井発言の真実相当性を主張する、と言い出した。
であれば、前にも述べたように、浅井が「日顯上人と大草講頭が盗聴を行なった」と信じたのには相当な理由があった、ということを立証するために、何を置いても浅井自身が証人尋問に立って、証言すべきところである。
ところが、顕正会の弁護士は、ここで「浅井の証人尋問は必要ない」と言い出し、裁判官を驚かせたのである。真実性の立証がもはや不可能であるのに、真実相当性を立証するための証人尋問をも不要としてしまう─この時点で、常識的に考えて浅井の敗訴はきわめて濃厚となったといえる。
察するに顕正会の弁護士は、浅井昭衛を証言台に立たせてボロが出たらまずいことになる、と思ったのか、はたまた、仏のごとき浅井センセーを証言台に立たせるのは申し訳ない、と思ったのか、そのいずれかにより証人尋問を不要としたのであろう。
しかも呆れたことに、浅井の証人尋問を不要とし、また新たな決定的証拠を出せているわけでもないのに、顕正会の弁護士は「すでに立証は十分にされた」などと自信満々に言い切っていたのである。
呆れてものが言えないとは、このことであり、浅井の敗訴は顕正会の弁護士によって導かれた、と言って過言ではない(これについても、絶対に法廷に立ちたくない、との浅井の意向で真実相当性の立証をしなかった、ということなら話は別だが、弁護士の方針であったなら弁護過誤である)。
浅井の殺害容認テープの提出
これは敗訴に結び付いた弁護過誤、ということではないが、浅井昭衛と側近の密談を録音した怪しげなテープ(大草講頭を集団暴行する計画と、場合によっては殺害も容認する、との驚くべき密談が録音されたテープ)を、うっかり、自らの主張を裏付ける証拠だと思って、裁判に提出してしまったことである。
弁護士であれば、提出する証拠の内容確認をするのは当然だが、大した確認もしなかったのか、あるいは確認していながら何の問題も感じなかったのか、このとんでもないテープが浅井側から公の法廷に提出されたことにより、浅井に「対立する者に集団暴行を加えたり、殺害も厭わない」との恐るべき思想がある、ということが満天下に証明されてしまったのである。
これも顕正会の顧問弁護士としては重大な失敗であった、といえよう。
以上、今回の裁判における顕正会弁護士(藤村・菅原)の弁護過誤の主なところを挙げてみたが、浅井の不幸は、ベテランの外部弁護士を使わず、子飼いの専属弁護士に全てを任せたことにある、といえるであろう。呵々。
(「慧妙」令和4年2月1日号より転載)